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CASE STUDY / HAWAII

ハワイで、市民が
減税を勝ち取った話。

「増税は止まらない」は思い込みです。人口140万人の州で、ひとつの市民団体が実際に何をして、何が起きたのか。数字と出典つきで整理しました。

WHAT HAPPENED何が起きたのか

ハワイ州には「グラスルート・インスティテュート・オブ・ハワイ」という市民シンクタンクがあります。政党でも圧力団体でもありません。州議会に出される法案を全部読み、市民にわかる言葉で解説し、議会に意見書(テスティモニー)を出し続けるだけの組織です。

ハワイ州議会は民主党が圧倒的多数を占め、増税法案が毎年大量に提出されます。それでも、以下が実際に起きました。

FACT 01 / 増税を止めた実績(2025年会期) 98%をブロック
グラスルートのアキナ会長は2025年2月、その年の会期に出された増税案について「少なくとも60本」と公表しました(カーボン税・富裕税・宿泊「グリーン料金」・小売配送への50セント課税など)。
会期終了後の同団体の総括によれば、このうち実際に成立した増税は宿泊税(TAT)の10.25%→11%引き上げ(SB1396)の1本だけ。キャピタルゲイン増税(HB476)、失業保険税率引き上げ(HB202)、カーボン税(HB760/SB633)、富裕資産税(HB1235/SB313)、不動産譲渡税引き上げ(HB1410/SB469)はすべて不成立でした。
60本中、通ったのは1本。つまり約98%が止まった計算になります。
2026年会期も同様に、キャピタルゲイン増税・州レベルの新固定資産税・コンサートチケット税などが軒並み不成立。知事による所得税減税の凍結案も押し返しました。
出典:Keli'i Akina会長「Don't tax me, bro」(2025年2月9日・グラスルート公式ブログ)/同「2025 legislative wrap-up tour」/Maui Now(2025年5月26日)/同「legislative wins」(2026年5月)
FACT 02 / 減税の規模 -71%
2024年成立の Act 46(HB2404)による、2024〜2031年の8年かけた段階的減税。ハワイ州史上最大の所得減税で、州全体の減税規模は2031年までに56億ドル(約8,000億円)です。

年収帯ごとの効き方(州税務局の公式試算・2031年時点):
・年収中央値(88,005ドル≒1,300万円)の4人家族:年5,086ドル → 1,473ドル(-71%)。5年間の累計節税額は約2万ドル
・所得下位10〜20%の層:-132.8%——払う側から、還付を受け取る側に変わる
・最下位10%の層:もともと納税額ゼロのため変化なし
・削減率は低所得層ほど大きく、所得が上がるほど小さくなる設計。恩恵が最も大きいのは年収15万ドル以下の世帯
仕組みは、偶数年に標準控除を倍増(最終的に約6倍)+奇数年に税率ブラケットを引き下げ、の交互適用です。
出典:ハワイ州税務局(Department of Taxation)公式ブログ「Estimating the Impacts of Hawaiʻi's 2024 Tax Cut Bill」/Tax Cut Hawai'i(州公式キャンペーンサイト)
FACT 03 / そのためにやったこと 219
2025年会期の1シーズンだけで、104本の法案・決議に意見を出し、議会への意見書提出は219回
派手なデモでも献金でもありません。読んで、書いて、出す。これを会期中ずっと続けただけです。
出典:Grassroot Institute of Hawaii「2025 legislative wrap-up tour」

「98%」の計算方法について

分母の「60本」はグラスルートのアキナ会長の発言(2025年2月9日・公式ブログ)、分子の「成立1本」は同団体の会期総括に基づきます。59÷60≒98%。この2つの一次情報から計算した数字であり、計算の中身をここに開示しています。

WHY IT MATTERSなぜ日本でもできるのか

ハワイでやったことを分解すると、特別なものは何ひとつありません。

日本の場合、①の「全部読む」が地方議会で特に困難です。会議録は公開されていても、量が多すぎて誰も読めない。だから 議会ミエル でAIに要約させ、③の意見書提出を しみんボイス で数十秒に短縮します。ハワイの市民が人力とファックスでやったことを、日本ではテクノロジーで一段速くやる、という発想です。

人口140万人の州で成立したことが、1億2千万人の国で成立しない理由はありません。むしろ規模が大きいぶん、動く人が増えれば効きます。

GRASSROOTS INTERVIEW現地に、聞いてきました。

高崎圭悟
高崎圭悟4 Japan 代表/インフルエンサー
ショーン三井
ショーン三井グラスルート・インスティテュート・ハワイ/資金調達担当
高崎圭悟
高崎ハワイでは、草の根保守の市民団体が増税法案を大量に阻止し、所得税を大幅に減らすことを成し遂げたと聞きました!
ショーン三井
ショーンそうなんですよ。
高崎圭悟
高崎具体的にはどんな取り組みが行われていたんでしょうか?
ショーン三井
ショーンまず、立法府で出される法案を全部チェックするんです。増税につながるもの、コミュニティに不利益なものはすぐに共有して、専門家と市民が一緒に分析します。そのうえで議員に直接意見を伝えたり、証言を出したり、SNSで周知したりして、議会にプレッシャーをかけていく。すべて合法的で民主的な手法ですが、とても効果的なんですよ。
高崎圭悟
高崎なるほど。「市民がプロセスにちゃんと参加する」って、日本ではまだ浸透していない考え方ですよね。
ショーン三井
ショーンええ。日本だと「政治は誰かがやってくれるもの」という感覚が強い。でもハワイでは「政治は私たちが監視し、参加して、正しい方向に動かすもの」という意識が根付いている。だからこそ、あれだけ大きな成果につながったんだと思います。
高崎圭悟
高崎日本でも、もし市民が同じように政治プロセスをチェックしていけば、変えられる可能性は十分にありますよね。
ショーン三井
ショーンあります。むしろ日本こそ必要だと思っています。税金の使われ方や行政の透明性を市民が見ていくことで、政治は必ず変わる。ただ、その最初の「一歩」を踏み出す人がまだ少ないんです。
高崎圭悟
高崎だからこそ、今回ハワイの事例を日本の皆さんに共有したいと思ったんですが、あらためて、ショーンさんから日本の市民へメッセージをいただけますか?
ショーン三井
ショーン日本の皆さんに伝えたいのは、「小さな行動が大きな変化を作る」ということです。数人のグループから始まった草の根運動が、ハワイ全体の税制や政治の流れを変えたんです。日本でも必ずできます。未来は与えられるものではなく、自分たちで形づくるものです。
高崎圭悟
高崎ありがとうございます。ハワイの成功事例は、日本にとって大きなヒントになりますね。

出典一覧

  1. Keli'i Akina「Don't tax me, bro」(増税案60本のカウント・2025年2月9日)
    grassrootinstitute.org/2025/02/dont-tax-me-bro-2/
  2. Maui Now「Grassroot Institute reviews legislative session」(2025年5月26日・成立/不成立の内訳)
    mauinow.com/2025/05/26/grassroot-institute-reviews-legislative-session…
  3. ハワイ州税務局「Estimating the Impacts of Hawaiʻi's 2024 Tax Cut Bill」
    tax.hawaii.gov/blog/blog16-estimated-impacts-of-2024-tax-cut-bill/
  4. Tax Cut Hawai'i(州公式キャンペーンサイト・累計節税額)
    taxcuthawaii.org/about-the-hawaii-tax-cut/
  5. Grassroot Institute of Hawaii「Grassroot upbeat as it wraps up its 2025 legislative wrap-up tour」
    grassrootinstitute.org/2025/05/grassroot-upbeat-as-it-wraps-up-its-2025-legislative-wrap-up-tour/
  6. Grassroot Institute of Hawaii「Grassroot's legislative wins include housing reforms, defeat of tax hikes」
    grassrootinstitute.org/2026/05/grassroots-legislative-wins-include-housing-reforms-defeat-of-tax-hikes/
  7. ハワイ州知事室「Gov. Green Signs Largest Income Tax Cut Bill for Working Families」
    governor.hawaii.gov(Act 46 署名リリース)

次は、日本の番です。

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